全印総連2022参議院選挙アピール
平和、人権、暮らしを守り、憲法改悪を許さない政治を実現しよう

2022年5月23日
全印総連中央執行委員長 柳澤 孝史

 今年夏におこなわれる第26回参議院議員通常選挙は、6月22日告示、7月10日投開票の日程が予定されています。平和の世界をどうつくるのか、新型コロナで傷んだ経済・社会をどう取り戻すのか、日本の針路が問われる重要な国政選挙です。

 ロシアによるウクライナ侵略の事態をうけて、「戦争する国づくり」が声高に叫ばれています。改憲4項目を掲げる自民党や昨年秋の衆議院選挙で議席を伸ばした日本維新、また、選挙後に野党共闘を離脱した国民民主も同調し、「憲法9条では国は守れない」と言い、他国の領土を攻撃する「反撃能力」保有や核兵器の共有まで主張しています。歴代政府が堅持している専守防衛と非核三原則を逸脱する暴論であり、憲法9条を掲げる国民として断じて許すことはできません。

 安保法制(戦争法)による集団的自衛権の行使を前提に、岸田政権は防衛費を大幅増額し、辺野古米軍新基地建設や南西諸島へのミサイル基地配備など日米軍事同盟を強化しています。政権内から防衛費を倍増する12兆円GDP2%枠も言い出しており、社会保障費のさらなる抑制とセットになるのは必至です。憲法9条を壊す、改憲と日米軍事同盟強化、大軍拡の暴走を許してはなりません。

 憲法違反の安保法制廃止、立憲主義の回復を求め2015年に市民連合が結成され、2016年参議院選から野党共闘が広がり、昨年の衆議院選では小選挙区で政権与党と競り合うたたかいになりました。

 今度の参議院選でさらに立憲主義を守る共闘を進め、改憲勢力3分の2を占めさせてはなりません。

 いま、新型コロナによる景気停滞からの回復を見ないまま、物価高騰が暮らしを直撃しています。中小企業ではダメージが強く、財務省「法人企業統計」によると、営業利益や従業員数を減らし、長期借入金が大きく増加、景気回復の遅れが中小企業の資金繰りに陰影を落としています。印刷関連産業では原材料費やエネルギー費の値上げに加え、紙メディア市場が縮小する影響が強くあらわれ一段と深刻です。

 賃上げも物価高に追いついていません。最賃運動で動かしている全国一律制度の実現、コロナに負けない、物価高にも負けない、確かな賃上げ・底上げと中小企業への支援、大企業の内部留保や富裕層の金融所得への課税、消費税減税とインボイス制度の撤回を求める政治の決断が必要です。

 今度の参議院選挙はこれからの日本の針路が問われています。コロナ禍は日本の社会のぜい弱さをあぶりだしました。市場経済優先の新自由主義路線は社会保障と公衆衛生を後退させ、労働者保護法制を緩和し、格差と貧困が拡大しました。自己責任と企業競争に委ねた社会のひずみは、安全対策の不備や労働争議となる人権侵害の温床となっています。誰もが生きやすい社会の実現は政治の責任です。

 また、世界から周回遅れの原子力と石炭依存を引きずる気候変動対策、構造的なジェンダーギャップの解消は、様々な運動のなかで政治の課題となっています。

 岸田首相は就任当初から、新自由主義がもたらした様々な弊害を乗り越える「新しい資本主義」を提唱していますが、コロナ感染対策でも自助・自立が強いられ、中身は安倍内閣とそれを引き継いだ菅内閣の基本線を継承しています。

 暮らしと雇用をまもる要求実現の運動となかまが広がれば、政治を変える力になります。しかし、最近の国政選挙の投票率は50%程度、有権者の半数が政治の針路を白紙委任しているのです。投票率は国民が政治を監視する度合いです。必ず投票をしましょう。周りに投票を呼びかけましょう。

 労働組合は憲法で保障された思想・信条の自由を守り、政党支持と政治活動の自由を組合員に保障します。その原則を踏まえ、今度の参議院選挙で、一人ひとりが要求を実現する政策にもとづく選択をし、投票権を行使し、政治の針路を示す一票を投じましょう。

 市民と野党の共闘を前進させ、平和と命、人権、暮らしを守り、憲法改悪を許さない政治を実現しましょう。