資材・燃料高騰で価格転嫁アピール第2弾
用紙をはじめとした資材価格、エネルギーコストが急騰しています。全印総連は七月、「公正な取引と適正価格で持続可能な印刷出版関連産業を一緒につくりましょう ~物価上昇、エネルギーコスト高騰にともなう値上げ分の適正な価格転嫁を呼びかけるアピール~」として、再度の価格転嫁などを求めています。アピールの全文は下記になります。
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急速な物価上昇が続き、日本経済も生活も大きな打撃を受けています。円安や二〇二二年二月にはじまったロシア軍のウクライナ侵攻にともなう原油価格の高騰が事態に拍車をかけています。
私たち印刷出版関連産業をとりまく状況は、ますます厳しさを増しています。
製紙各社は二〇二二年一月出荷分からに続き、八月出荷分からの値上げを相次いで発表しました。年に二回もの値上げはオイルショックに匹敵します。用紙が大幅な値上げとなることに加え、電気やガスなどの光熱費も一斉に値上げされ、各社から悲鳴が聞こえてきます。年内には新聞用紙価格や物流コストも上昇が予想されています。
私たちは一月、印刷用紙値上げの価格転嫁に理解を求めるアピールを発表しました。印刷出版関連産業が持続可能であるために、あらためて印刷用紙をはじめとした原材料価格の値上げ、エネルギーコストの上昇などが価格へ適正な転嫁をされることに発注者のみなさまのご理解をいただくよう呼びかけます。
個々の企業ではすでに、コストダウンや生産体制の見直しなどぎりぎりまで切り詰めた対応をしています。しかし、現状の値上げ状況は企業努力の範囲では到底吸収できない水準にあります。印刷出版関連産業で価格への転嫁ができないことは、今後の産業の存続に関わります。
印刷出版関連産業は中小零細企業によって支えられています。この産業が持続可能であるためには、原材料価格の上昇、エネルギーコストの上昇、労務費の上昇などが価格に反映されることが欠かせません。独占禁止法、下請法の順守、工期の見直しなど中小企業の働き方改革への対応の為にも中小企業への取引条件のしわ寄せ防止が必要です。
設備の更新、作業環境の整備のほか、最低賃金の順守はもちろんのこと、賃金引き上げは労働者から選ばれる産業になるためにも不可欠です。そのためには原資が必要です。中小企業庁が原材料価格、エネルギーコスト、労務費の価格転嫁状況を調査したところ、労務費の転嫁は原材料価格、エネルギーコストと比べてもさらに困難にあることも、あらためて明らかになっています。
私たちの社会では、新聞や書籍をはじめとした紙媒体・紙製品による文字・活字文化が豊かに形成されてきました。この文化を守り、次世代へとつなぐことは、私たち印刷出版関連産業に関わるものの責務でもあると考えます。産業の継続と発展には労働者の雇用を守り労働条件を向上させることが欠かせません。労働者への適正な賃金と事業を継続させるための適正な利益を確保する、適正な価格設定が求められます。
印刷出版関連産業にかかわるみなさまにあらためて呼びかけます。コストの上昇は適正に価格転嫁されるよう公正な取引を求めます。国や自治体にも実効ある価格転嫁対策を求めます。取引慣行の改善と適正価格の実現で持続可能な産業を実現しましょう。
二〇二二年七月 全印総連