いのち、人権、憲法まもる政治に転換を

全印総連 総選挙アピール

2021年9月21日
全印総連中央執行委員長 柳澤孝史

全印総連のみなさん
 この21秋年末闘争のなかで衆議院議員選挙が行われます。8月、菅首相の地元、横浜市長選挙では、カジノ誘致反対の運動が選挙の争点を明らかにして、投票率を11ポイント以上引上げ、立憲野党が支援した候補が勝利しました。より良い政治を願う一人ひとりの行動が政治を変える力です。私たちの要求を実現する政治をつくる機会です。

いのちを守る政治に
 9月3日、菅首相は自民党総裁選に不出馬を表明、アベ政治の継承と、「自助」「自己責任」を掲げた菅政権の退場は当然の結末です。
 新型コロナ感染対策では、科学的知見にもとづく警告を軽んじ、利権がらみのGoTo事業や、選挙目当てのオリンピックの強行で、変異株の急速な拡大を招きました。重症者以外は原則自宅療養などと命に関わることまで自己責任を持ち出しました。
 医療体制のひっ迫する事態を前にしても、公立・公的病院の統廃合と消費税を財源に20万床のベッド削減を進める病床削減推進法を強行しました。国の財政支援は不十分で、命と向き合う現場の労働者の待遇にしわ寄せが及んでいます。
 政府は感染拡大が国民の行動様式にあるとばかりに自粛要請を繰り返し、わずかな補償も届かずに暮らしと営業は悲鳴をあげています。パートやアルバイトなど非正規で働くなかまはシフトカットや休業、雇止めで生活の困難に直面しています。
 かたや資本金10億円以上の大企業の内部留保は前年度から7兆円増やし466.8兆円と過去最高となりました。財源や税制を見直し、低所得者層や中間層への富の再分配を強める政策が求められます。不安定な雇用の収入減への保障や雇用、生活支援を拡充させ、最低賃金を全国一律に、人間らしく暮らせる時給1500円に引上げる政治の決断はまったなしです。

人権と憲法を守る政治に
 菅政権一年あまりの間にも、違憲と人権抑止の危険な姿勢が際立ちました。学問の自由を否定する日本学術会議会員の任命拒否、金権政治や身内が関与する疑惑の隠ぺいに終始し、国民監視と私権を制限する土地利用規制法、デジタル関連法を強行する一方で、LGBT理解増進法では「差別は許されない」との法案の文言を理由に自民党の一部議員の反対で国会提出が見送られました。選択的夫婦別姓の議論でも先送りにし、入管行政の人権侵害は隠ぺいするなど、国際社会に背を向けた政治がはびこっています。
 4月の日米首脳会談で菅首相は日本の軍事力増強を約束、対中戦略に重点をおくアメリカに追従し、防衛費は22年度予算で過去最高5.4兆円を計上しています。また、改憲勢力は国民投票法改定を憲法改正の「最初の一歩」として、憲法への自衛隊明記やコロナ禍に便乗した緊急事態条項の創設など「改憲4項目」の議論に躍起です。軍事優先ではなく、憲法の平和の理念を堅持する政治が求められます。

要求実現の運動で政治を変えよう
 いま全国各地で、政治の転換を願う市民と野党の共闘が広がっています。安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合と野党の共通政策として、①憲法に基づく政治の回復、②科学的知見に基づく新型コロナウイルス対策の強化、③格差と貧困を是正する、④地球環境を守るエネルギー転換と地域分散型経済システムへの移行、⑤ジェンダー視点に基づいた自由で公平な社会の実現、⑥権力の私物化を許さず、公平で透明な行政を実現する、を掲げます。
 私たち労働組合は、選挙に臨み、思想・信条の自由、政党支持と政治活動の自由を組合員に保障します。
 その前提において、21秋年末闘争で、暮らしと雇用をまもる要求実現の運動となかまを大きく広げ、政治を変える力にしましょう。
 一人ひとりが要求を実現する政策にもとづいて選択し、投票権を行使しましょう。
 各地で市民と立憲野党の共闘を前進させ、いのち、人権、憲法を守る政治を実現しましょう。